0人が本棚に入れています
本棚に追加
日々の狂騒の最中、私は日に日に冷静になり、周りの連中を観察した。
ずっと前から近くで馬鹿騒ぎをしているのに名前すら知らない。
話の内容も何百回同じことを聞いたものか。
しかし、改めて考えて見ると不思議なことばかりだ。
もっと記憶の糸を手繰り寄せ、何があったか思い出さないと――
――ここは楽園。
――気兼ねする事なく自由に飲んで、歌いたまえ。
そういえばそんな言葉がどこからか響いたような。
そうだ、その言葉は心地よく体中に染み渡り、それから忘我の中へ入って、喧騒の日常へ溶け込んでいった。
そして今、たぶん私だけが自分という存在に気付き、思い出している。
最初のコメントを投稿しよう!