追放

4/4
前へ
/12ページ
次へ
 声は答えた。  ――黙れ! 貴様の言葉など聞かぬ。  ――罪を犯したものはこの楽園より追放する!  そう声が告げると、天上より稲妻が降ってきた。  稲妻が体を貫くと私は気を失い、波の音に目を覚ますと砂浜に横たわっていた。  水平線を虚ろに眺めていると三度声が響いた。  ――そこは遥か東の涯て、堕落の地だ。  ――お前は楽園の時間を失い、永遠の命を刻むことはできなくなった。  ――これからはその地の時間で、少しずつ衰退し果てるがいい。  そこで声は終わり、私は呆然と彼方を見ていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加