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 なぜ知ることが罪なのだろう。  自分という存在、主体を持ってはいけない。  有無を言わさないあの態度には、憎悪と怒りが籠もっていた。  分からない。  過去に何かあったのか。何が、声をあそこまで厳しいものにしたんだ。  それとは別なことだが、声自身には主体がある。  考え、判断を下したのだから間違いない。  声以外の主体的存在を許さない、いや、許せない?  そもそも声とはどういった存在なのか、しかしそれを知るすべは無い、か。  分からないことばかりだ。  考えれば考えるほど、自分というものさえ分からなくなってきた。  問題は私の主体の芽生えから始まり、次に罪そのものについて、次に声の正体、次に存在とは何か、そして《存在する私》ということに帰ってくる。
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