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俺の朝は早い。
なんでかって?
母親が料理しないからだよ。
ちなみに父親は単身赴任で南国に飛ばされた。
絶対遊んでるね。この前、俺だけにメールきたもんね。
母親と姉さんがグータラなおかげで俺が料理をするはめになったわけだ。
そういうわけで、冷蔵庫を開けて、何を作るか思案していると、服の袖をちょいちょいと引かれた。
「………おは。」
龍崎家最後の住人、マイリトルシスター、愛花だ。
「おはよう、気配を消して後ろに立つのやめてって言ったよな。」
身長は俺の胸の高さ程度しかなく、いつも無表情で何を考えているかよくわからないが、可愛い妹であることに違いはない。
ちなみに中学生だ。
「顔洗って歯磨いたか?」
「………うん。」
「じゃすぐ作るから、座ってな?」
しかし、愛花は動こうとせず、じーっと俺の方を見つめていた。
「ど、どした?」
「ん……私もかずくんの手伝いする。」
次は、しばらく俺が動けなかったね。
滅多に自分の意見を愛花は言わないから驚いた。
しかも手伝うなんて、愛花も成長したもんだ。
ぜひ、あの二人に聞かせてやりたい。
姉さんは俺にしたいだけすると、「私大学休みだから起こさなくていいから」だそうだ。
いい御身分だなおい。
「……かずくん?」
おっと、どうやらトリップしていたらしい。
愛花が心配そうに俺を見ていた。ええ子やな。
俺は、愛花に簡単な指示を出し、朝食作りを始めた。
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