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「雪、鉄ちゃん家に居るの?」
「…!」
雪ちゃん両手でお口をふさいで💧だね。
「そうなの雪?」
「?」
ママとハナちゃんも気になるみたい。
「ないしょさ、やくそくしたさ…」
「ユキちゃん…」
ユキちゃんが涙ぐんでつぶやいたからハナちゃん心配そう。
「雪…」
「…💧」
切なく微笑んだパパの後ろに子供の頃のパパが浮かんだよ。
『前にも言ったろ信之助!』
「うん…」
パパの田舎だね、縁側で鉄ちゃんと子供の頃のパパが話してるよ、庭の向こうは田んぼが広がって里山に囲まれてる。
『俺は俺の姿が見える奴としか話さないって!』
鉄ちゃんにかって笑ったよ。
「でも、前は友達だったんでしょ…!」
パパは💧だね。
『ああ、だが俺が見える、見えないってのには意味があるんだ!』
「えっ…」
鉄ちゃんが遠くを見て言ったよ、パパ少し驚いたね。
『だからお前に通訳を頼む気はない!』
またにかって鉄ちゃん笑ったよ。
「鉄ちゃん…」
「…」
子供の頃のパパの前にパパが浮かんできたね。
「テッちゃんにあえなくなったらやださ…」
「ユキちゃん…」
涙ぐんで凹んじゃったユキちゃんにハナちゃんが声をかけたよ。
「大丈夫だよ雪、パパがおばあちゃんに話しちゃった時にはちゃんと出て来てくれたよ!」
「ほんと?」
「!」
「ああ!」
パパが笑って言ったからユキちゃん喜んだよ、ハナちゃんもニッコリだね。
「まあ、僕が一緒に居る時には出て来てくれないだろうけどね…!」
「なして?」
「なしてさ?」
「?」
外を見て寂しげに笑ってパパが言ったからママとユキちゃんとハナちゃんが聞いたよ。
「鉄ちゃんは鉄ちゃんの姿が見える相手としか話さないんだ…!」
「そうなの?」
「ああ…!」
「ださ…!」
運転しながらパパの話を聞くママにパパとユキちゃんが答えたね。
「ずっと昔、鉄ちゃんの通訳をしてくれてた子が居たんだ…」
外を見たままパパが言ったよ。
「その子もそのうち鉄ちゃんが見えなくなったんだって…」
「そう…」
運転しながら寂しげにママが言ったね。
「でもその子は鉄ちゃんと話せなくなっても話せる振りをして凄く辛い思いをしたんだって…」
「まあ…」
気の毒そうにパパとママが言ったね。
「かわいそうさ…」
「うん…」
ユキちゃんとハナちゃんも。
「でもいいさ、鉄ちゃんが家に居るって分かっただけでも僕には大ニュースさ!」
「そうね!」
「ださ!」
「うん!」
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