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暑い中、さらに熱気が増していく。
延長10回裏11対11の同点という状況でこちらのピッチャーは完全にバテていた。
――――三者連続四球。
二死にはしたがそこからの満塁。
こちらのピッチャーはもう三人目で控え投手は―――俺しかいない。
監督がキャッチャーに声をかけキャッチャーはそのまま審判に何かを告げる。
「おい、馬渕。行ってこい」
そしてどこか冷静な口調で投手交代を告げられ、マウンドへ向かう。
投球練習をさっさと終わらせ、周りを見渡す。
なんだかんだで初登板だった気がするな…公式戦は初めてだ。
キャッチャーのサインを覗き込む―――と言っても俺はストレートしか投げれないが。
投球モーションに入り、キャッチャーめがけて思いっきり腕を振るう。
――――ぽす
そして緩い球が気が抜けるような音を残し、キャッチャーミットに吸い込まれた。
バッターは思わず空振り。
二球目もなんとか空振り。
追い込んでからの三球目。
―――カキン
体勢を崩しながらも当てた打球は俺の真上に高く上がり…
「アウト!」
このピンチを乗り切っ――――――
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