一章 扉の向こう

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(あ~……。めんどくせぇ……) 授業中、なんとなく空を見上げていた。 窓際に設置された座席からは、様々な形の雲が浮かんでいる青空を見ることができた。 そんな斜め上をじっと見つめていると、止まっているような雲でも少しずつ、本当に少しずつだが動いているのがわかる。 別に、特に何かをしているわけではないし、何かを考えているわけでもない。 ただひたすらと教科書や問題集の内容を復唱するだけに等しい数学教師の言葉を聞き流しながら、ただ時間が過ぎていくのを待っていた。
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