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空が白み始めた時に律達はこっそり家を出る筈だった。
キィ…
「行ってきます。」と言って出ようとすると
「行ってらっしゃい、律」と言われた。
すぐに後ろを振り向くと、双子の兄の捺(なつ)がいた。
「どうして?捺
私何も言ってなかったのに。」
驚く律に捺は
「…双子故にかな。
はいこれ…父さんと母さんがお前に渡せって、で俺からはこれ。
たいしたものじゃないけどな。」
笑いながら渡す。
「頑張って来いよ。
それと気負いし過ぎるな。
白叡、黒叡…律を頼んだよ。」
励ましと願いを託すと
「はい、捺。」
「任せて、捺
律は俺らが守るから。」
と頼もしい返事が帰ってきた。
「2人とも、もう行かないと…
捺…ありがとね
行ってきます。」
少し悲しげに捺に別れを告げた。
「気を付けてな…行ってらっしゃい。」
そう言って、律達の姿が見えなくなるまで見送っていた。
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