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「ほらほら、早く行かなくちゃ。今日はもう一人連れて行かないといけないんだよ。君の話のヒロインを、さ」
彼は鞄の中を漁り一枚の紙を取り出した。
僕を絶望の淵に追いやったのと、全く同じ紙。
「えー……と?紫色の髪の毛、ポニーテール。体重が42㎏。牡牛座、AB型、父親がガラス職人で、母親が……」
途中から声が聞こえなくなった。
眼球が右に左に文面をひたすら追い、時々彼女を見る。
全部読み終えて、紙を綺麗に畳んで、鞄に戻して、大きなため息を一つ。
「変わり者の脳味噌に生まれて良かったね、君たち」
何もない場所に現れるドア。
それをくぐる彼。
それをくぐる、僕ら。
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