4/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「ほらほら、早く行かなくちゃ。今日はもう一人連れて行かないといけないんだよ。君の話のヒロインを、さ」 彼は鞄の中を漁り一枚の紙を取り出した。 僕を絶望の淵に追いやったのと、全く同じ紙。 「えー……と?紫色の髪の毛、ポニーテール。体重が42㎏。牡牛座、AB型、父親がガラス職人で、母親が……」 途中から声が聞こえなくなった。 眼球が右に左に文面をひたすら追い、時々彼女を見る。 全部読み終えて、紙を綺麗に畳んで、鞄に戻して、大きなため息を一つ。 「変わり者の脳味噌に生まれて良かったね、君たち」 何もない場所に現れるドア。 それをくぐる彼。 それをくぐる、僕ら。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!