招かれた運命

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数分後、ヨレヨレの服+汗だくの不様な姿になった山口が恨めしそうに睨んでいる。 「いやはや、山口くん、こんな人里で熊に襲われるなんて実に不幸だねぇ」 「・・・あぁ、世界一アホな真路熊にな」 世界一アホは無いだろう。 「熊に引っ掛かれなくて良かったなぁ、打撃だけだったから、傷は無いだろう」 「・・・過激派(テロリスト)の気持ちが良くわかる今日この頃だぜ」 失敬な。 まるで俺が暴力を振るったみたいじゃないか。 ・・・まぁ、振るったには振るったんだが。 ふわり、と、夏の生ぬるい風が申し訳程度の涼を運んでくる。 どうやらバスは遅れているようだ、時刻表を十分程過ぎている。 やることもなく、山口に話しかけようとしたが、ベンチに座って寝息を発てているので、難しいだろう。 視線をフライパンの如く熱されたアスファルトに移し、そこでふと、思い出した。 「・・・結局、あの夢は何だったんだろうな」 適当な自己解釈をして無理矢理落ち着いてみたが、わからないコトが一つある。
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