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「あんた・・・どうしてもこのゲームに勝ちたいんだろ?」
「ああ、そうだ。
俺は、勝って、優勝して、一千万円手に入れたいんだよ。」
「じゃあ、負けてやろうか。」
「は?」
栄太の口が軽やかに動いているように感じる。
「いや、だからさ、負けてやろうか?って言ってんだよ
あんた、家族いるんだろ?
だったら、家族のために勝ってこいよ。」
「なっ!何を言う。
そんなのはったりに決まっているだろ!
お前だって、金に困ってるんだろ?そんなやつの事を信じる理由なんぞない!」
この男を僕は、嘘をついてこっちに持っていき、グルになろうとは思っていない。
ただ、この男の冷静さを欠けさせいだけだ。
今、すでに冷静さを欠けてることが分かる。
僕がなぜ、【影文が家族のために戦っていることを知っているか。】全く疑問に思わなかったのだから。
【人間ポーカー】
このゲームにおいて、冷静さを失うことは、敗北への道であると僕は思っている。
もちろん、たまたま、選んだカードで、ツーペアやスリーカード、ストレートなんてものになる場合だってあるにはある。
だが、そうならない可能性の方が高い。僕は、その可能性にやつが当たるように仕向けているだけだ。
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