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フリトとスパントは、磨かれて繊細な模様をした青銅の鎧兜を着けた。北の都フォルス、そして彼ら一族の紋章を刻んだ物であった。
勇ましい家臣も、フォルスの美しい女子供も、全ての者が二人の旅立ちを悲しんだ。
フリトは領主の弟、スパントは百戦錬磨の猛勇であったから、誰もハルムへの出立を喜ばない。
雄大に華美な曲線を描くアーチの門へ、二人は馬を駆った。紺碧と紫のマントが靡く。無数の窓から、人々の目が二つの色の消え行くのを見送った。
都を北と南から貫く街道を駆けながら、フリトの瞳を建造物が横切った。
塔も民家も華美な曲線を持っている。北の門はなだらかなアーチで、日に二度しか動かされない。
フォルスは太古の王に建造された伝承に名高い都だ。
フリトは気を沈ませ、スパントは口数が少なかった。都を出、広大な草原に出た後も黙々と距離を稼いだ。
やがて陽が昇ってきた。遥か前方、痛ましい沈黙を続ける古森に降り注ぐ。なだらかな丘とも、とても小さな山ともとれる。それがハルムの森。
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