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男の名は北爪。ごく普通の県立高校に通うこれまた普通の高校生だ。
しかし、そんな北爪の目の前には、普通ではない信じがたい光景が広がっていた。
西洋風の鎧を装備した数人の兵士らしき人間が、北爪に剣を向け、何やら言っている。
日本語ではないらしい。純粋な日本人である北爪には聞き取ることは出来ない。
「なんやねん、これは」
北爪はこの理解しがたい状況に段々と腹が立ってきた。
「ワイを、殺す気か?」
兵士達が友好的でないことは、状況、雰囲気からして明らかだ。
それどころか、明晰な敵意を抱いているように見える。
「やったら、ワイに殺されても文句ないよなぁ?」
北爪は、普段から持ち歩いているバタフライナイフを構え、兵士の一人に飛びかかった。
兵士の顔が更に厳しくなる。
北爪はナイフを右手に握り、兵士の首めがけ左から一気に振り払った。
しかし、兵士の剣がそれを防ぐ。
ナイフと剣が衝突し、甲高い金属音が鳴り響く。
それとほぼ同時に、北爪の蹴りが兵士の顔面にめり込んだ。
蹴りの衝撃で数メートル程吹き飛ぶ兵士。この間僅か一秒。
他の兵士も、叫びながら北爪に突っ込んでくる。
「無駄や!」
北爪は迫り来る三本の剣をリズミカルに軽くかわし、連続バク転で距離をとった。
そこへ、
「ハサヤタハワマ!」
高い女の声が聞こえた。
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