終末の足音

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投石避けの金網越しに見えるオフィス街はひっそりと、そして不気味な静けさを醸し出している。 午前九時。 普段なら道行く人で溢れる交差点には一切の人気がない。 そこにあるのは虚しく点滅を繰り返す信号機だけ。 その静寂を破るようにして、大型車両の列がコンクリートジャングルを掻き分けて疾走している。 車列を組む二台の大型バスと放水車、四輪駆動の指揮車。 それらは平和なこの街で一際異彩を放っていた。 平和なはずの日本で突如として原因不明の大規模暴動事件が発生したのは、つい先日のことだった。
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