幼き逃亡者

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この静寂に包まれた住宅街には、ソラという少年がいた。 彼は、当時八歳。 なんの変哲もない、特別なものなんて持たない、ただの少年だった。 この日、彼はいつものように学校に行って、授業を受けて、家に帰ってきたら、カバンだけ家に置き、友人と泥だらけになるまで遊び、家で夕飯を食べて、風呂に入った。 そして、両親との約束の9時になったので、就寝する為に、両親に挨拶をして、2階の自分の部屋に入って行った。 ちょうど二ヶ月前に、両親と一緒の部屋だったのを、自分一人の子供部屋に移った。 始めは、一人で寝るのが怖かったが、最近は慣れてしまい、むしろ一人で寝ると言うのが自分が少しお兄さんになった気がして嬉しいとも感じている。 そして、いつものようにベッドに入って眠りはじめた。 ……ここまでは、いつもと同じ、何も変わらない…日常だった…。
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