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そして、次に目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。
いつも自分の寝ていたベッドとは違って、硬く、布団も暖かさが伝わらなかった。
そして、病院の独特の匂いが鼻を刺激した。
ソラは、体を起こすと頭部には白い包帯が巻かれていたのに気づいた。
そして、長い時間寝ていたせいか背中が少し痛かった。
周りを見渡すと、他にはベッドは置かれていない。
どうやら個室のようだった。
『目が、覚めたかい?』
不意に声を掛けられて、ソラはビックリして飛び上がった。
声を掛けてきたのは、初老の男性だった。
服装は、ポロシャツに黒いスラックスと大して特徴がなく、顔も印象には残りにくい、シワの多い顔だった。
ソラには、その男性と会った記憶はなかった。
ソラは、突然のことに驚いて上手く返事が出来なかった。
『頭は痛むかい…?』
『…うん。』
やっと返事を出来るようになったが、ソラは少し男性を警戒していた。
男性もそれに気づいたのか、ニコニコしながら自分から名乗りでた。
『私は、いろんな子供達のお世話をしている。桐生って呼んでくれ。』
桐生は、手を差し出して握手を求めてきた。
ソラも、それに気づいて、オドオドしながらも手を差し出して手を握った。
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