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ソラは、その時ハッとしたように桐生に聞いた。
『あの…っ!ぼくのお父さんとお母さんは…?どこにいるの?』
すると、桐生は少し顔を歪めた。そして言いづらそうにソラに告げた。
『…ソラ。残念だけど君のお父さん、お母さんは死んでしまった』
桐生の言った言葉は唐突すぎて、幼いソラには理解出来なかった。
そもそも『死』と言うのがなんなのかと言うのも理解していなかった。
『…しんじゃったってどういうこと?どこかとおくにいっちゃったの?』
『そうだね…ずっと遠いところにね。』
『お父さんとお母さんにあいたいよ…あいにいきたいよ』
『ダメなんだよ、ソラ。遠すぎて行けないんだ』
『やだよーっ!きりゅうさん、そんないじわるいわないでよ!いきたいっ!あいにいくんだぁっ!』
ソラは、興奮して泣き叫んで暴れだした。
両親が死んだことを理解出来たわけではないが、もう会えないということは理解出来てしまったようだった。
桐生は、ソラを宥めながら静かに言った。
『じゃあ、私のところに来なさい。すぐには会えないけど、いつか会えるようになるかもしれないから』
そういうと、ソラはパタリと泣き止んだ。
『本当?』
その目は真っ直ぐ桐生の目を捕らえて離さなかった。
桐生は、ソラを預かるのを納得してもらう為とは言え、嘘をつくことに罪悪感を感じながらも頷いた。
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