少女人形

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「あら、珍しいわね。」  落ち葉がひらりひらりと舞い落ちる秋も深まる中、私は神社の鳥居の下にいる人物に目を留めた。  掃いても掃いてもまた散らばる落ち葉集めの手を止めると、彼女はゆっくりと私の方へと近付いてくる。 「……私が来るのがそんなに珍しい?」  つい口から漏れてしまった言葉に、彼女はムスッとした表情を浮かべていた。そうだった、些細な言葉で突っかかるような……アリスはそんな奴だ。 「大体、私が博麗神社に来るのって一週間に一回くらいでしょ? 結構来てる方だと思うけど。」  拗ねた表情をしながらそんな事を言うアリスに、私の心拍数は少しずつ増えていく。その言葉の意味にアリスが気付いてしまわないか、そんな考えが頭をよぎる。  確かに、彼女の来る回数は週に一回程度。しかし、一週間にたった一回しか来ないという事実は、私にとって非常に長い期間に感じられるのだ。  要するに何が言いたいかって、私はアリスが来る事を待ち遠しく思っているという事なのである。
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