21人が本棚に入れています
本棚に追加
虚圏東端―――――
大王の遺体をそっと降ろしたバラガンは自分に付き添う虚たちに宣言した。
「ここを我らの本拠とし,必ずやあの地を奪還するぞ!」
一人の部下から質問が来た。
「バラガン様,この広大な砂漠に陣を構えるのはいささか危険なのでは??」
「ん…?フィンドールか。そうじゃな,それは理解しておる。だからこそ此処に城を作るつもりじゃ,堅牢な城じゃ。名を虚夜宮という。」
「虚夜宮…!」
「そうじゃ。この我らの王を此処へ埋め,その上に虚夜宮を築くのじゃ。我らの王は死んだ。しかし,我らはそれでも行き続けねばならぬ。そしていつの日か儂が王の遺志を継ぎこの虚圏の王…いや,神となる!」
バラガンは大王がいつも頭の上
に載せていた黄金の王冠を自分の頭に載せた。
「バラガン陛下,万歳!!」
部下達は生き返ったようにせっせと瓦礫やらを加工し始めた。
虚圏に語り継がれる事になる大宮殿,虚夜宮の起源である。
最初のコメントを投稿しよう!