水城ちゃん、年齢不詳

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その日は空にまるくて清らかな華が咲いていた。 闇夜に浮かぶ月。雲一つ無い世界に悠然と咲き誇る。 私はただ、寂れたベンチに体操座りをして、泣いた。 此処はどこ? 私は誰? 何の為に居るの? どうして、独りなの? 淋しいよ? 誰か……気付いて? お願い…… お願い…… 独りは、淋しい…… 自分が他人に見えないことも、その願いが叶えられるようなことでないことも薄々感じて、ひたすら絶望する。 この日の嘆きも誰にも届かないことは百も承知だった。
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