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名を聞いたらとりあえず答えたは良いとしよう。
水の城で何の捻りもなく水城(みずしろ)と云うそうだ。
別に特別珍しい名前を求めていた訳でもないので名前が何であろうとそうなのだとあっさり納得するまでである。
ただ、名前より可笑しなことがあることに間違いはない。
それが個性と言い張るならば、まぁ、ある意味強烈な彼女らしさと云えるかもしれない。
だが、そう、俺は“身体が透けて浮いているだけ”という主張を個性と受け止められるほど素直に育った覚えはなかった。
ふよふよと宙を泳ぎ俺に纏わりつく非現実。
恥じらい多き乙女と聞きもしないのに自ら名乗った所謂浮遊霊の水城はどうやら俺に一目惚れしたという。
正直、傍迷惑な以外、何物でもない好意である。
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