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……霊に絆されるなんで実に馬鹿らしい。
絆されている……つもりはないのだが、煩いものが妙にしおらしいのは調子が狂う。
俺的水城はか弱い乙女とは程遠いのである。
「……水城、今日、俺は早く上がれそうだ」
「うん?」
「……お前の成仏の手伝いをしてやるから、今は離せ」
平和な日常。
俺は非日常に居る。
「それって……デート?」
「……」
「いい子にしてるっ!!」
水城はどうして俺なんかの前に現れたのだろうか……。
それは俺にも、水城にも分からないことだった。
青空を優雅に羽ばたく幽霊は少しだけ天使に見える。
眩しいくらいの太陽に負けない笑顔が水城にはある。
あまりに輝いていて、どうしようもなく目が離せない。
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