佐波さん、30歳

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……霊に絆されるなんで実に馬鹿らしい。 絆されている……つもりはないのだが、煩いものが妙にしおらしいのは調子が狂う。 俺的水城はか弱い乙女とは程遠いのである。 「……水城、今日、俺は早く上がれそうだ」 「うん?」 「……お前の成仏の手伝いをしてやるから、今は離せ」 平和な日常。 俺は非日常に居る。 「それって……デート?」 「……」 「いい子にしてるっ!!」 水城はどうして俺なんかの前に現れたのだろうか……。 それは俺にも、水城にも分からないことだった。 青空を優雅に羽ばたく幽霊は少しだけ天使に見える。 眩しいくらいの太陽に負けない笑顔が水城にはある。 あまりに輝いていて、どうしようもなく目が離せない。
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