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「……まあ、そういうわけだから」
私が心の中で気持ちを引き締めていると、谷地がポツリと話し始めた。
「俺を気にして高山を避けたりとか、そんなことはしないでね」
……あ、その話。
真面目な顔の谷地に、私は背筋を正した。
「つーか、水野と高山のかけ合い、実は面白くて好きだし」
え、そうなの?
意外な言葉に、私は「へえ」と呟いた。
「やっぱ、同中だからかな。気心知れた仲っつーか……そこに、ちょっと嫉妬したりもしたけど」
照れ笑いを浮かべて、谷地は鼻の頭をポリポリと掻いた。
「でも、そんなの気にしたってしょうがないしね。だから、俺の言ったことは気にしないで」
私は無言で頷いた。
谷地がそんな風に考えていたなんて、初めて知った。
どうしよう。
かなり、嬉しいです。
言っていい?
言っていい?
私、谷地に、惚れられてるんだね!
そりゃ、つき合ってるんだからそうなんだろうけど、改めて実感したというか。
やっぱりどこかで自信のない私だから。
私は谷地に好かれている。
谷地は私の彼氏。
これがまぎれもない事実なんだって、今、はっきりそう思えた。
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