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遠くから、声が聞こえる――。
よく聞こえないけれど……呼ばれているような……。
『……の』
『……ずの』
必死で耳を澄まし、声のする方を探す。
徐々に声は大きくなって――……。
『水野』
はっきり聞き取れる頃には、その声の主が誰なのか私にははっきり分かった。
途端に顔が緩む。
「谷地ぃ……」
けれどいくら周りを見渡しても、声の主の姿は見えなくて。
「谷地?どこ?」
私はきょろきょろと周りを見渡した。
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