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今夜、誕生会とともに婚約披露宴が行われる。
この国のやり方はすこし変わっていて、国民に披露してから船で一週間旅し、その間ずっと宴会が催されているのだ。
シリウスは1人浜辺でため息をついた。
王族どおしの会合で一度だけ見た隣国の姫は確かに美しかった。
「どうだ?」と王に訊かれ、ただ素直な意見で「綺麗な女性ですね」と答えただけなのに、王はシリウスが姫に一目惚れしたと勘違いした。
相手は好意を持ってくれているらしいが。
まったく迷惑な話だ。
やっと側近たちをまいて1人になれた。
王になれば更に自由がなくなる。
そのうえ、孤独だ。
人の上に立つ者は、どんなに敬られてもつねに孤独。
ならば。
シリウスは長い指を振った。
周りに光の粒が降る。
同じ孤独ならば、自由な魔法使いがよかった。
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