第二章 自由を欲する王子

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今夜、誕生会とともに婚約披露宴が行われる。 この国のやり方はすこし変わっていて、国民に披露してから船で一週間旅し、その間ずっと宴会が催されているのだ。 シリウスは1人浜辺でため息をついた。 王族どおしの会合で一度だけ見た隣国の姫は確かに美しかった。 「どうだ?」と王に訊かれ、ただ素直な意見で「綺麗な女性ですね」と答えただけなのに、王はシリウスが姫に一目惚れしたと勘違いした。 相手は好意を持ってくれているらしいが。 まったく迷惑な話だ。 やっと側近たちをまいて1人になれた。 王になれば更に自由がなくなる。 そのうえ、孤独だ。 人の上に立つ者は、どんなに敬られてもつねに孤独。 ならば。 シリウスは長い指を振った。 周りに光の粒が降る。 同じ孤独ならば、自由な魔法使いがよかった。
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