2/2
前へ
/2ページ
次へ
~20年前~ 「…ん」 母親が料理をしている音で晋助は目が覚めた。 もう朝か… 晋助は起きて、二階の寝室から下にある居間へ寝巻のまま下りていく。 居間へ行くと母のサエが朝食の用意をしていた。 晋助に気がつくと、笑顔でおはようと挨拶をした。 晋助は今だ眠い目をこすりながら挨拶を返した。 あたりを見ても父の姿が見えない。 「…父さんは?」 返ってくる答えは予想できる。 「朝早く出かけたよ。今日も帰ってくるのは遅くなりそうね。」 やっぱり。 だが、そんなことはハッキリ言ってどうでもよかった。 父親は仕事でいつも帰りが遅く、一緒に遊んだ記憶もない。 朝食を食べ終えると、晋助はすることもないので、庭で洗濯物を干している母の様子を眺めていた。 山のような洗濯物。 忙しそうに動き回るサエに「手伝おうか?」と尋ねた。 するとサエは笑顔で 「大丈夫だよ。夕方までお志乃ちゃんのところに行って遊んでおいで。」 と言った。 それを聞くと晋助は寝巻から着替えて出かけて行った。 サエは笑顔で見送った。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加