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オレは立ち上がり、自分の席に着く。
こんなのは毎朝のことだ。
特に気にかける必要もないだろう。
ななもオレの後に続き席につく。
ななはオレの席の隣だ。
クラスでは
「ねーねー昨日のTVみた?」
「やっべ!教科書忘れた!!」
「数学の宿題やったぁ?」
などと朝らしい雑談で賑わっている。
教科書の出し入れをしていたオレの目の前に翔が来た。
「なーなー?なんでお前は、そんなにななちゃんと仲いいの?」
「[な]が多いんだよ。もっとわかりやすい文体にしろ」
「お前はななちゃんと付き合ってるの?」
「文体どころか意味まで変わってんじゃねぇかよ…。別に付き合ってなんかねぇよ」
「うそつけ!じゃあなんで毎朝一緒に登校してんだよ!?」
「偶然だ、ぐ・う・ぜ・ん」
オレはちょっと意地悪く言った。
「くそぉ~…ところでケン?今日から新任のセンセが来んのしってるか?」
オイオイ唐突だな。
オレは[流行りの~]に滅法疎いのである。
そんなのも災いしてか
「~ちゃんと~君が付き合ってる」
とか
「~先生が退任するぞ」
など、学校の情報もよくわからん。
「そうなのか?」
「やっぱしらねぇか。噂話とかに参加したほうがいいぜ?」
「余計なお世話だっつーの。で? どんな先生なんだ?」
「おう! それがさ、えっれー若い女教師なんだって!」
「なんだってって…お前まだ見てないのか?」
「もしかしたらその女教師と…教師と生徒の垣根を越えた素敵Eventが…」
ダメだ使いモンにならん。
こういう時は……
「なぁ? なな。今日から入って来る新任の先生のことなにかしってるか?」
オレが授業の準備をしているななに話かけると、ななは手をとめ、
「長田先生のことかな? それだったら昨日会ったよ」
なんで昨日会ってんだ?
コイツ。
すると聞いてもいないのにななは喋り出した。
「昨日ね職員室に行ったら自己紹介してたの。とっっっっってもキレイな先生だったよ!」
ふーん…コイツが言うなら間違いなさそうだな。
翔は当てにならん。
「どんな容姿なんだ?」
オレも男なので少しは気になる。
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