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『俺の親友』だと
そう言った彼は、
頻繁に見舞いに来ては
たくさん喋って帰っていった。
自分の話
彼の家族の話
彼の友人の話。
聞いてるこっちが
疲れるくらい、
いろんなことを話してく。
なのに、
肝心の俺のことは
一切、話さない。
俺が今、
一番知りたい情報なのに…
もどかしくて
もどかしくて、
勇気を出して言ってみた。
「…笠間くん」
「ん?」
「俺のこと、教えてよ」
「………」
「気になるんだ。俺が、一体どんな人間だったのか…っ。」
俺の唐突な発言に
驚いて見開いた目。
でも、それはすぐに、
優しい眼差しに変わった。
「それは無理だよ」
「何で…っ?」
「意味が無いから」
「え?」
「意味無いでしょ?そんなこと」
必死な俺を
優しく、諭すように
彼はそう言った。
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