refrain

4/7
前へ
/30ページ
次へ
「…例えば、」 もし俺が紫紀に 全部話したとしてさ。 それに何の意味があるの? 今までのこと話したところで、 紫紀の記憶は戻らないし、 元の紫紀に戻るわけじゃない。 それじゃ、意味ないんだよ。 「わかるでしょ?」 …確かに、 そうかもしれない。 全て知れば解決するなんて、 そんなはずがないことくらい 俺にだって分かってる。 でも、俺は…っ! 「ねぇ、紫紀」 俯く俺に、彼は 優しく話しかけた。 「つらいし、苦しいだろうけどさ」 紫紀自身が、 ちゃんと自分のこと 思い出してあげないとね。 「大丈夫!俺が付いてるから」 そう言って、俺に微笑んで。 その日はそのまま、 彼は帰って行った。 .
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

320人が本棚に入れています
本棚に追加