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"ばーか、泣くなよ"
うつらうつら、
電車に揺られ。
頭の中に響くのは、
いつかのあいつの言葉。
自分以外、
誰も乗ってない電車の中で
一人、過去に浸る。
『ご乗車ありがとうございます。次は、終点――…』
聞こえてきたアナウンスに、
ハッと目が覚めて。
窓から見える
懐かしい景色に
少し、
目頭が熱くなった。
プシュー
電車のドアが開いて、
一歩踏み出す。
吹き抜けた風は、
あの頃と違ってひんやりしてて。
けど、懐かしいニオイ。
振り返ってみれば、
走り去った電車の向こう
あの頃と変わらない
海が見えた。
ただいま。
帰ってきたよ。
ね、聞こえてる?
.
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