Re:start

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夕暮れ時 2人、 海沿いの道を歩く。 久しぶりの海 潮の香り この街に着いてから 何もかもが懐かしく感じる。 隣で歩く翠ちゃんは、 さっきから何も喋らない。 きっと、俺を 気遣ってくれてるんだろうけど。 1ヶ月前の、 翠ちゃんからの電話を思い出す。 『蒼ちゃん、あのね…落ち着いて聞いてね?』 『実は…』 しばらく歩いて、 目的地に到着した。 海沿いに建つ 大きな病院。 真っ白な廊下を、 静かに進む。 ある病室の前に着いて、 「蒼ちゃん、いい?」 覚悟は出来てる? そう聞かれた気がして、 ゆっくり頷いた。 ガラッと扉を開けて、 「ヤッホー!紫紀!遊びに来たよー!」 大きな声で、明るく 中に入る翠ちゃん。 「あ!笠間くん、いらっしゃい」 懐かしいあいつの声。 …何も変わらないのに。 勇気を出して中に入る。 ベッドの上のあいつと 目があって、 空気が、止まった。 .
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