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「笠間くん…知り合いの人?」
「あ、うん。俺のいとこ!」
「へぇ~、いとこいたんだ。」
「風峰蒼ちゃんっていうの!かわいいでしょ?」
「ははっ!そうだね。」
俺を置いて、
会話が進む。
『実は、紫紀が事故にあって…。』
『命に別状は無いって。でもね…、』
「風峰くん…だっけ?」
また、目が合う。
その姿は、あの頃と
ちっとも変わらないのに。
『事故の時、頭を強く打ったみたいで。』
『記憶喪失、なんだって…』
"泣くなよ、蒼"
"大丈夫!きっとまたすぐ会える"
"待ってるから、俺。
お前が帰ってくるの"
そう、言ってくれたのに。
「はじめまして、紫紀っていいます。」
あの頃の君は、
もういなかった。
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