サザンクロス~情報屋とコウノトリ~

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「……親バカは少し黙っててください」 義父さんに向かって、エムがピシャリと言った。 「エムちゃん……。俺……お前の上司なんだよね……?」 何かを再度確認するように呟く義父さんを軽くスルーして、エムが話を続けた。 「交渉する際、トト様お一人では少々荷が重いと思われます。側にドロシー様がいれば、相手の態度も軟化する可能性もありますし、こちら側が有利になるかもしれません」 そこまで言って、エムは微笑みながら、トトを見た。 「カドリングは……たしかに危険ですが……トト様が全力でお守りするでしょうから」 「もちろんです」 トトもエムに微笑みながら、そう返した。 なんだろう……? この感じ……? 会話の裏側がありそうな、この感じ。 “全力でお守りしなかったら……どうなるかわかってます?” “あなたに言われなくてもわかってますよ” ……そんな黒い会話が見えるんだけど。 「え、え~っと。……ですって。義父さん」 微妙な空気を振り払うように、義父さんに同意を求める。
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