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横にいる義父さんは、「でもな」とか「やっぱり」とか、なおもぶつぶつと文句を言っていた。
「……ドロシー様には、その場にいる人間の気持ちを優しくするといいますか……ほっとさせる不思議な魅力があります。交渉の際、彼女は必要不可欠な存在でしょう」
エムはにっこりと微笑みながら、私の方に向き直る。
……だから、エム。私のこと過剰に褒めるのやめて。
顔、真っ赤になるから。
「それと……これは私の個人的な意見なんですが……」
エムがそこまで言いかけた時、書斎のドアを遠慮がちにノックする音が聞こえた。
「はい。どうぞ」
トトがドアごしに声をかける。
「お姉ちゃん……いる?」
ゆっくりと開くドアから、おずおずと顔を覗かせる小さな男の子。
「ホグ!」
ネッサローズの息子のホグだった。
「どうしたの?」
ホグの側にいき、しゃがみこんだ。
「お姉ちゃんに……これ」
ホグが右手を差し出した。
見ると、四つ葉のクローバーが握られていた。
「……見つけたから、あげる」
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