サザンクロス~情報屋とコウノトリ~

14/16
前へ
/604ページ
次へ
―――― 書斎に残されたヘンリーとエムが会話を交わす。 「あ~あ。なんか、なし崩し的にドロシーも一緒に行くことになっちまったなぁ~」 「やはり、心配ですか?」 「それもあるけど……あ~あ。せっかくドロシーと二人っきりですごせると思ったのになぁ~」 「……そっちですか。ヘンリー様……私のこと忘れてませんか?」 エムが、呆れたように突っ込んだ。 「ところでさ……お前、さっき何を言いかけたの?」 「ああ……。別にたいしたことじゃありませんから。気になさらないでください」 「……いや。気になるから。言いかけてやめるとか、ムチャクチャ気になるから」 「……嫌な感じがするんです」 エムが眉間にシワを寄せた。 「嫌な感じ?」 「説明が難しいんですけど……空気がピリピリしてると言いますか……この場所にドロシー様達を置いておきたくないような……そんな気がするんです」 「軍人の第六感ってやつか?」 「さあ……どうでしょう? 私もあなたに付き合って、隠居生活が長いですから、あてにはなりませんけど」
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1279人が本棚に入れています
本棚に追加