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ぶにっ。
頬に痛みが走る。
ぶにっぶにっ。
更に痛み。
ばっと目を開けると、トトの顔。
「お。目が覚めたか」
トトが、私の両の頬をつねりながら、微笑んだ。
「お嬢。着きましたよ」
「“ふひまひふぁ”ひゃにゃひ!」
「何言ってんです? お嬢?」
面白そうに、トトが頬をぐにぐにと引っ張る。
「いひゃいっ! ふぉふぉっ!! ひひふぁふぇん、ふぇをはにゃふぇぇっ!!」
トトがぱっと手を離した。
「いったぁ~。あんたねぇっ! 顔が崩れたらどうしてくれんのよっ!」
頬をさすりながら、トトに抗議する。
「でも目が覚めたでしょう? 結果オーライってことで」
「“結果オーライ”じゃないわぁっ!!」
バックミラーを覗くと、案の定、頬っぺたが赤くなっている。
ああ……もう。トトのあほんだらぁ~!!
「大丈夫ですよ」
「何が大丈夫なのよ!?」
まだ、ヒリヒリしてるんだぞっ!!
「たとえ、顔が崩れたって大丈夫ですよ。俺が責任を取ればいいんですから」
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