サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.2~

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今、私の目、多分ぐるぐる渦巻きです。 「あっはっはっはっ! むきになっちゃって、お嬢、かわいいなぁ~」 トトが爆笑した。 「ううう、うっさいっ!! うっさいっ!!」 ポカポカとトトを殴る。 「イタタ……すいません! お嬢! 俺が悪かったです! ちょっ……! 痛いって!」 笑いながら、トトが謝った。 「ホントに……からかって……すいません」 なおも、にやけ顔で謝るトト。 ……説得力がなさすぎる。 「でも……」 貴女が……俺の言葉に反応してくれるのが嬉しくて……望んではいけないのに……貴女が俺だけのものになってくれたら…… 「あ? 何?」  何かを言い掛けて止まるトトに、私の手もピタリと止まる。 トトの何か言いたげで、切なげな眼差し。 ……な、なんなのよ。なんか……今日のトトおかしい。すごい調子狂うんだけど。 「なんでもありませんよ」 そう言いながら、トトが車のドアを開け、さっと降りた。 「すいませんが、お嬢。ここからは歩きになります」
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