サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.2~

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「……って、いつのまにそっちに行ったの?」 気が付くと、私はトトに抱きすくめられていた。 私の手首を掴み、首に腕を巻き付けホストを睨んでいる。 苦しいうえに、痛い。 「ちょっ……! トト……! 苦しっ……! 放してっ!!」 「ダメだ」 冷たく突き放すような声。 ビクッとしてトトを見る。 「俺が目を離すと、お前はどこで誰と何をするか分からない。油断も隙もあったもんじゃない。ダメだ」 トトの手に力が入り、ギリギリと手首を締めあげられる。 そして、冷たく妖しい笑顔。 苦しさと痛みが増す。背中に冷たいものが走る。 ……怖い。 「……っ! 痛いよっ! トト……! ごめん……! ごめんなさいっ! 謝るからっ! だからっ!」 「だから放して?……ダメだ」 トトがふんっと鼻で笑う。 あーっ!! もう、誰かこの男のステータス異常を解除してくれっ!! 「おい」 それまでこちらのやりとりを傍観していたホストが、声をかけてきた。 ホストの顔は真剣そのものだった。
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