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「その子放せよ」
先ほどのチャラっとした雰囲気はそこにはない。
「怯えてるじゃねぇか。放してやれよ」
「うるせぇ。部外者はすっこんでろ」
ホストを睨み付けながら、トトが冷たく言い放つ。
「……部外者、ね」
ホストがため息をつく。
「部外者だけど、あんたをそこまでキレさせちゃったのは俺だし、まぁ……お遊びが過ぎた責任はとらないとね」
ホストが腰の鎖に手をかける。
「それに俺……」
じゃらんと鎖が宙を舞う。まるで、何かの生き物のように。
「そーゆーの見過ごせないんだわ。フェミだから」
ひゅんっとトトの顔を鎖が掠める。
「……っ! てめぇ……」
「あんた……保護者が聞いて呆れるぜ。嫉妬心剥き出し。独占欲丸出し。それをまるごとぶつけられる方の身にもなれよ」
ひゅんっとまた鎖が掠める。
「何より俺の目の前で、女に苦しそうな怯えた顔させるとか……俺は許せない。特にそれが、俺好みの女なら尚更だっ!」
鎖がしなり、トトに襲い掛かる。
瞬間、トトが反転し、私を地面に押し倒すようにして覆い被さった。
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