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「そりゃそうでしょう。フェンリル部隊っていえば、泣く子も黙るエリート部隊。あいつらにその風格はなかったわ。……あんたもそれがわかったから、喧嘩買ったんでしょ?」
「あら、ばれて~ら」
にししとてつおが笑う。
グリンダがやれやれという感じで、ため息をついた。
「ところで……あんた、店は大丈夫なの?」
「店? のあぁっ!? 気がつきゃこんな時間!? ヤッべー!! 店長に怒られるぅっ!? 姉さん、俺行くわっ!!」
てつおはグリンダに手を振り、踵を返す。
「……と、その前に」
くるりと振り返って、私の方に近づいた。
「これ」
私に一枚のカードを渡す。
「これ、俺のいる店。今度遊びに来てよ。指名してくれたらサービスするから。それと君の名前、教えて?」
てつおがにこやかに笑いかける。
「……ドロシー」
その人懐っこそうな笑顔に、つい気を許して名前を言ってしまった。
「ドロシーちゃんか……。うん。君によく似合う可愛い名前だね」
……さすがホスト。
素でそういうセリフが出てくるとは……。
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