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「はあっ!? なんでだっ!?」
トトが目を剥いて怒る。
「あの子も過去にいろいろあった子だから、ちょっと屈折してるのよ。好きなものにはストレートにぶつかるか、かまってもらいたくってわざと嫌がらせをするか。そのどっちかなのよね」
「……つまり、お嬢は前者で、俺は後者ってわけですか」
トトが冗談じゃないといった感じで、ため息をついた。
……いや、なんか私も後者っぽい気がしてきたんだけど。
だって、唇に……ちう……。
なんの前触れもなく、いきなり……ちう。……チュウ。
「お嬢? 大丈夫ですか?」
思考停止状態の私を、トトが気遣わしげに覗き見た。
「あー……。うん……。大丈夫……。唇にちょっと触れたくらいだし……。今にして思えば……ギリギリほっぺのような気がするし……。仮に唇だとしても……ホント、軽く……軽~く触れたくらいだから……うん……多分……大丈夫」
「なんか、ムチャクチャ自分に言い聞かせてるじゃないですか……」
あはは……。私もそう思った。
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