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Dr.オールボーンが自分の部屋から出たとき、ドロシーの部屋から大きな声が聞こえてきた。
“どうして普通に起こせないの!?”
オールボーンはため息をついた。
……またか。
あいつも毎朝よくやるよ……ホント。
オールボーンがドロシーの部屋の前を通り過ぎようとした時、トトが部屋から出てきた。
「あ、師匠。おはようございます」
「ああ。……お前も毎朝大変だな」
「あはは……。これも仕事のうちですから」
困ったように、でも、どこか満足そうにトトが答える。
「……放っておいたらどうだ?“いい大人”なんだから、そのうち自分から起きてくるさ」
オールボーンが少し皮肉を込めてそう言った。
「そういう訳にも行きませんよ。だいいち、お嬢が起きるのを待ってたら、夕方になってしまいます」
「……置いていけばいい」
「師匠……。それ、本末転倒ですから」
「まぁ、置いていくのはやり過ぎだが、それくらいのことをすれば、あの娘も改めて、自分から起きてくるようになるってことだ」
「……うーん。まぁ……そうですよねぇ……」
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