サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.3~

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薄暗い店内。 男とも女ともとれる不思議な歌声。 ステージの上、グリンダがスポットライトの下で歌っている。 懐かしい童謡を口ずさむように歌うグリンダ。 私とトトは、それを奥のボックス席で静かに聞いていた。 他のお客も、グリンダの歌に聴き入っている。 ピアノが止み、グリンダの歌が終わった。ステージの上で優雅にお辞儀をするグリンダ。 われんばかりの拍手が起こった。 その中を微笑みながら、グリンダは優雅に歩く。 一人一人に微笑みかけ、ときには握手しながら、私達の方へやって来た。 「グリンダ! すごく素敵だったよ!」 私は拍手をしながら、グリンダにそう言った。 「どういたしまして。あんた達がいるもんだから、気合い入れて歌っちゃった」  ふふっとグリンダが笑う。 「あの歌って、童謡だよね? こういうところで聴くと、またちょっと違うよね」 グリンダにそう言った。 「そう。世界を創る少年と少女のお話。私の好きな歌……」 なぜか、寂しそうにグリンダが微笑んだ。
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