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「お嬢っ!」
パンッと何かが弾け飛ぶような感覚。
「……トト? え? え? 何?」
状況が飲み込めず、あたふたしてしまう。
「……どうやら、あなたの中にいるもう一人のあなたが、あたしの歌に感じちゃったみたいね」
グリンダが、クスクスと笑う。
「もう一人の私? ていうか、感じちゃうとか、なんかいやらしい……」
「何を想像してんのよ? この子ったら。あたしの手なんか握っちゃって、積極的なんだから」
グリンダに言われて、はっとする。
「手? なぁっ!? なんで私、グリンダさんの手握ってんの!?」
パッと手を離す。
「あら、残念」
グリンダが妖艶に微笑んだ。
うわぁ~。出た! グリンダのキラースマイル。
あれはちょっと反則だよね……。女よりも女らしくって、色っぽいんだもん。
グリンダには言えないけど……。
「誰が男か~っ!」て怒られるか、「んまぁ~嬉しい~っ」てテンション上がって抱きつかれまくるかのどっちかなんだもん。
「グリンダさん」
トトがグリンダに声をかけながら、私を引き寄せた。
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