サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.3~

5/21
前へ
/604ページ
次へ
「お嬢っ!」 パンッと何かが弾け飛ぶような感覚。 「……トト? え? え? 何?」 状況が飲み込めず、あたふたしてしまう。 「……どうやら、あなたの中にいるもう一人のあなたが、あたしの歌に感じちゃったみたいね」 グリンダが、クスクスと笑う。 「もう一人の私? ていうか、感じちゃうとか、なんかいやらしい……」 「何を想像してんのよ? この子ったら。あたしの手なんか握っちゃって、積極的なんだから」 グリンダに言われて、はっとする。 「手? なぁっ!? なんで私、グリンダさんの手握ってんの!?」 パッと手を離す。 「あら、残念」 グリンダが妖艶に微笑んだ。 うわぁ~。出た! グリンダのキラースマイル。 あれはちょっと反則だよね……。女よりも女らしくって、色っぽいんだもん。 グリンダには言えないけど……。 「誰が男か~っ!」て怒られるか、「んまぁ~嬉しい~っ」てテンション上がって抱きつかれまくるかのどっちかなんだもん。 「グリンダさん」 トトがグリンダに声をかけながら、私を引き寄せた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1279人が本棚に入れています
本棚に追加