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「そろそろここに来た目的を果たしたいんで、本題に移っていいですか?」
どこか刺々しいトトの声。
「あら? いいじゃない? もうちょっとくらい脱線してても。あんた達に会うのも久しぶりなんだもの」
悪びれる風でもなく、グリンダが微笑みながらそう言った。
「時間がもったいないですから」
「ちょっと! トト!」
あんまりな言い方に、思わず反論する。
「あらあら? あたしの店の前で大立ち回りをする時間はあったくせに、冷たいんだから」
グリンダの強烈な皮肉に、トトが苦虫を噛み潰したような顔になった。
さすがグリンダ。酢いも甘いも噛み分けたオネエの貫禄勝ちだわ。
「ふふっ。冗談よ。冗談。まぁ、そろそろ話を進めなきゃだわね。……ちょっと、あなた」
グリンダが側を通りかかったボーイに声をかけた。
「この子達をVIPルームへ案内してあげてちょうだい」
ボーイが静かに「かしこまりました」と言って、私達の方に向き直る。
「こちらです」
そう言って、私達を促した。
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