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「言ったでしょう? モグリのお医者様だって。派手なところで開業してどうするの」
「そりゃそうですけど……ここからまた半日近く車を運転すること考えたら……ちょっと、たまらない気分になっちゃっただけですよ」
トトがあははと乾いた笑いを出した後、「オヤジのやつ……覚えてやがれ」と呟いた。
「まあまあ。そう言わないで。案内人に楽しい男を付けてあげるから」
「案内人?」
「そ。案内人。……ちょっと、コウノトリを呼んで来てちょうだい」
グリンダが側にいたボーイにてきぱきと指示を出す。
「コウノトリ?」
なんか……すごい名前。
「……きっとコードネームか何かなんでしょう。おそらく……グリンダさんがつけた……」
……グリンダセンス。
納得。
「姐さん。呼びましたか~?」
西部訛りの混じった男の声が、ドアの向こう側から聞こえてきた。
「ああ。入ってちょうだい」
「邪魔します~」
扉を開けて入ってきたのは……
一羽の大きな……
コウノトリ。
そのまんま。
なんのひねりもなく……コウノトリ。
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