閑話休題~その1~

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トトが苦笑する。 どこか煮え切らないようなトトに、オールボーンは少し苛立った。 「……独占したい気持ちはわからんでもないがな。“ごっこ遊び”はほどほどにしておけ」 瞬間、トトから笑顔が消えた。オールボーンを睨むように見つめ、そして笑顔になる。 「はは……。かなわないな……。“先生”には」 昔の呼び方でオールボーンにそう言って、トトは背を向けて歩きだした。 ――そう。トトがドロシーを毎朝起こすのは、彼女を独占したいから。ほんの少しの時間だけど、その間だけ昔から築いてきた“二人だけの時間”が共有出来る。 ――そしてドロシーもまた、無意識のうちに“二人だけの時間”に身を委ねている。 ――その間だけ“あの頃”に戻れるから。 ……少し言い過ぎたな。 オールボーンは再びため息をついた。 ……何を剥きになってんだ? 僕は。 ……嫉妬? オールボーンは自嘲気味に笑う。 オールボーンが知らない、ドロシーとトト。決して、自分が入ることのできない二人だけの領域……。 ……僕も人のことは、言えないかもなぁ~。
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