1279人が本棚に入れています
本棚に追加
「仕方ないでしょう。条件に見合う先生がなかなかいなかったんだから。まぁ……たまたま、私の知り合いの先生にそれっぽい人がいたから……このさい多少の秘密主義は目をつぶりなさい」
「……情報屋としての守秘義務ってやつですか」
「ま、悪く思わないでね。そんなことより……」
グリンダが急に険しい顔をする。
「あんた達がかくまってる……ネッサローズだったかしら? ちょっと気になるのよね」
「気になる?」
「ええ。“軍”が追跡している二重スパイの女と情報が一致してるから……ね」
「二重スパイ……ですか?」
「人づてに聞いた情報だし、確証もとってないからなんとも言えないんだけど……それがホントのことなら……ちょっと厄介なことになりそうね……」
「……厄介なことって」
不安気に呟く私を見て、トトが優しく肩を抱く。
「大丈夫ですよ。お嬢。心配することなんて何もありません。早いところ用件を済ませて、帰ればいいだけなんですから」
「……うん」
トトがそう言ってくれても……一度広がった不安はなかなか消えてくれなかった……。
最初のコメントを投稿しよう!