サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.3~

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俺の手首を掴んでいるグリンダの腕を強く払いのける。 「……俺に“生きる意味”を与えてくれたのは……フィエロ博士だ。……感謝しつくしてもしきれない」 けれど…… 「俺にこの世界で生きたいと……“願い”をくれたのは“今のお嬢”なんだ」 グリンダを強く見据える。 「だから……もしも、この壊れた世界がお嬢を必要としていて……でも“今のお嬢”はいらないというなら……世界なんて壊れたままでいい」 お嬢のいない世界なんて意味がない。 そんな世界は一片の価値もない。 「たとえ、お嬢が世界の再生を望んだとしても、お嬢がこの狂った世界の贄になる必要はない。お嬢を犠牲にしないと存続できない世界なんていらない」 ならばいっそ…… 「そんな世界は滅びればいい。全てが無に帰した世界で俺とお嬢の二人だけなんて……息が止まる程の幸せだよ」 グリンダの耳元でそう囁く。 グリンダは微動だにせず、視線だけを俺の方に向ける。 「……あんた、背筋にくるようないい笑顔してくれるわね。今のはちょっとキタわよ」
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