サザンクロス~情報屋とコウノトリ Vol.3~

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グリンダこそ、ぞくりとするような笑顔を返す。 「あの子も大変な男に好かれたもんね……」 「……なんとでも」 これ以上話すことはないとばかりに、グリンダから離れ、ドアの方に向かう。 「お待ち」 グリンダが俺の背中に声をかける。 「あんたが……いえ、あんたとヘンリーがおのれのエゴであの子を守りたいように……あたしは、この世界を変えたいの。たとえどんな犠牲を払ってでもね」 振り返った俺とグリンダの視線が絡みあう。 「それが……“オズ”を……“家名”を捨てたあたしが唯一できる贖罪だから……」 いつか…… 「俺とあんたは……敵対するかもしれないな」 世界を失ってでも守りたいものがある俺と……かけがえのないものを失ってでも、世界を再生させたいグリンダ。 似て非なる……願い。 「……そうならないことを祈りたいわね」 グリンダの呟きに、背を向け俺は部屋から出て行った。
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